東近江の自然が織りなす布・カラムシ(苧麻)歳時記 自然編1

2020年05月27日

さて先日、麻糸を作るための繊維を取ることができる『カラムシ』を記事にしました


これからカラムシをシリーズ化していきます。実際にナンバンカラムシの皮を剥き剥きしているところはこちら!
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記事を見て、こんなの近所に生えてるわーとか山で見たわーと見たことないわーとか思われたでしょうか

そもそもカラムシ Boehmeria nivea var. nipononivea とはどんな植物でしょう

イラクサ科に属し、大きな花をつけず地味で小さな花を花柄の先にまとまって穂のようにつける植物です

イラクサ科だけをとってみると、少し湿った場所であれば人里から山奥まで広く分布しています

では在来の野生のカラムシはどんな場所に生えているでしょう



東近江の自然が織りなす布・カラムシ(苧麻)歳時記 自然編1



このあいだのカラムシは河原の近くの日当たりのいい開けた場所に、大きな群落を作って生えていました

しかしこの在来のカラムシは、薄暗い竹やぶにある小道のわきにひっそりと生えていました

これが本来の在来のカラムシの姿です

先日の記事のものと比べてみると・・・



東近江の自然が織りなす布・カラムシ(苧麻)歳時記 自然編1



先日の記事のカラムシは、在来ではなく、栽培植物のナンバンカラムシのように思えます

ただどちらも古くから東アジアを中心に生えていたものなので、交雑したり逆にしていなかったり、

いろいろな可能性が考えられます



カラムシ属には似たものがほかにもあります、では同じカラムシ属のヤブマオの仲間と比べてみましょう



東近江の自然が織りなす布・カラムシ(苧麻)歳時記 自然編1



右がカラムシ、左がヤブマオの仲間

成長がピークになる時期がアカソのほうが早いので、今の段階では結構違いますが、追いつくとよく似てきます

その時どこで区別するかというと、葉のつき方です

カラムシ属の中で葉のつき方が互生(互い違いにつく)なのはカラムシとナンバンカラムシだけ

左のように葉のつき方が対生(向かい合って葉がつく)の場合はカラムシ属でも

アカソやヤブマオの仲間だということになります



東近江の自然が織りなす布・カラムシ(苧麻)歳時記 自然編1


東近江の自然が織りなす布・カラムシ(苧麻)歳時記 自然編1



山沿いの道のわきのガードレール下にも、虫だらけのカラムシ(在来)が生えていました

下の「フクラスズメ」の幼虫はカラムシ属の葉が大好きな虫なので、これはカラムシ属だとすぐわかります

あとは葉のつき方を見てみましょう



カラムシ属の植物は軸から皮がはぎやすく、程よい強度の繊維をとることができるものが多いので

人類の歴史をさかのぼっても、古くから利用されていた植物です

身近な植物に人間との関わりの歴史が深いものがあります、ぜひ探してみてください


地域学芸員 阿部 美和

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